新型コロナウィルスが転職活動に与える影響は計り知れません。
2020年初頭から勢いが増している新型コロナウィルスですが、仕事や私生活面だけでなく皆さんの転職活動にも影響が出始めてきました。
このページでは、2020年3月下旬時点での新型コロナウィルスが皆さんの転職活動に与える影響についてお伝えするとともに、今後の見通しについても考察していきます。
この記事の内容
現時点での転職活動への影響
まずは、新型コロナウィルスが皆さんの転職活動にどの程度影響を及ぼしているのかを見ていきます。
結論を先にまとめると以下の通りです。
※企業の人事・採用担当者554名から回答
- 各企業が採用活動におけるコロナウィルス対策をすでに実施、もしくは検討している企業は全体の65%
- 各企業が実際に行っているコロナウィルス対策の内訳は、
・60%の企業がオンライン面接を実施、もしくは検討している
・一方で、約30%の企業で採用の後ろ倒しや一時停止がすでに行われている
※データの数値は「エンワールド・ジャパン 新型コロナウイルス 感染対策 アンケート」から引用しています。
※データは2020年2月下旬のものとなります。
それでは一つづつ見ていきます。
【質問1】中途社員の採用活動で、新型コロナウィルスの感染対策を実施していますか?
全体の25%程度の企業が、すでに採用における新型コロナウィルス対策を実施しているという結果です。
検討中の企業を含めると実に60%近くが新型コロナウィルスに対して大きな関心を寄せています。
この数字は2020年2月下旬のデータです。3月・4月の新型コロナウィルスの蔓延状況を見る限り、この割合は今後さらに高まることが予想されます。
【質問2】すでに行っている対策内容を具体的に教えて下さい
まず、もっとも多かったのが「採用面接のオンライン化」で60%程度の企業がすでに実施しているという結果です。
また、30%程度の企業で「採用活動の一時停止」や「後ろ倒し」がすでに行われています。
ちなみに「採用活動の一時停止」は外資系企業の22%がすでに行っているのに対し、日系企業はその1/4である5%程度です。
日系企業のみに関して言えば、2月下旬時点では採用を完全にストップしている企業は少ないようです。(その分「採用の後ろ倒し」を実施している企業の割合が多いです)
【質問3】採用活動で検討している新型コロナウィルス対策を具体的に教えて下さい
続いては、新型コロナウィルスの対策を「すでに実施している」ではなく「今まさに検討している企業」の内訳を見ていきます。
ただし、回答内訳は「すでに実施している」企業とほとんど変わりはありません。
気になる採用の一時停止や後ろ倒しを検討している企業ですが、全体でみると30%弱といったところでしょうか。
「採用の一時停止」ではなく「後ろ倒し」の割合が圧倒的に多いため、現時点では各企業ともに状況の見極めを行っているフェーズなのかもしれません。
今後の新型コロナウィルスの動向によって、流動的な状況と言えそうです。
転職活動(雇用状況)の今後の見通し
まず、この記事を執筆している4月10日時点(安倍首相より国内7都府県を対象にした緊急事態宣言が発令されました )では新型コロナウィルスの動向は全く読めません。
ただ、日々世界中で患者数が増えている現状を鑑みると、この状況が長期化する可能性は否定できません。
もし、この危機的状況が長引くようであれば世界中の景気が冷え込むことは避けられないでしょう。
雇用状況も現在の売手市場から少なからず変動する可能性も十分に考えられます。
過去事例を参考に今後の見通しを推測してみる
今回の新型コロナウィルスは状況的に以下の2つの事例に少なからず似ている部分があります。
- 東日本大震災(2011年3月)
- リーマンショック(2008年9月)
共に、世界に激震が走り、世界中の人々に大きな不安をもたらしました。
時代背景は全く異なるためあくまでも一つの参考事例ですが、当時の雇用状況がどのような推移をたどっていたのか見る価値はあると思います。
東日本大震災発生前後の有効求人倍率の推移
意外に思われるかもしれませんが、東日本大震災による全国の有効求人倍率の変動はほとんど見られませんでした。
震災直後(数ヶ月間の)一時的な落ち込みは震災の影響による交通麻痺やその後断続的に行われた計画停電の影響が考えられます。
東日本大震災発生前の雇用状況は右肩上がりのアップトレンドが続いており、震災直後も順調に右肩上がりに推移しているのがグラフからも見てとれます。
一方のリーマンショックはどうだったのでしょうか。
リーマンショック発生前後の有効求人倍率の推移
状況的に見て、新型コロナウィルスが与える雇用状況へのインパクトは東日本大震災よりリーマンショックの状況に近しいと思われます。
景気の悪化は全世界で同時進行する可能性が高いですし、「終わりが一向に見えない(見通しが非常に悪い)」点も同じです。
リーマンショックは2008年9月に発生し、翌年2009年にかけて著しく雇用状況が悪化しました。
有効求人倍率の底値はなんと0.38!
今ではちょっと考えられない数字です。
そして、リーマンショック発生前と同程度の雇用状況に戻るまで、4年以上の歳月がかかっています。
新型コロナウィルスの場合はどうでしょうか。
発生直後の1〜2年目でここまで極端に悪化することはないのかもしれません。
ですが、長期化すればするほど、雇用状況が低下し続けていく可能性は十分に考えられます。
今転職を考えている方は、少しでも早く動いたほうが良いのかもしれません。
日本にとって最悪のシナリオは東京オリンピックの延期。その被害総額7.8兆円
2020年3月25日、正式に東京オリンピックの延期が決定されました。
延期後の開催日は2021年7月23日です。
約一年後。それまでに新型コロナウィルスが収束していることを願うばかりです。
万が一、東京オリンピックが延期になった場合の被害総額は7.8兆円という衝撃の数字がはじき出されました。
SMBC日興証券は6日、新型コロナウイルス感染が7月まで収束せず、東京五輪・パラリンピックが開催中止に追い込まれた場合、約7.8兆円の経済損失が発生するとの試算を公表した。国内総生産(GDP)を1.4%程度押し下げ、日本経済は大打撃を被るという。
JIJI.comから引用
もしこのような状況になれば、日本の不況はリーマンショックの再来になるのではないかとも囁かれています。
日本にとって50年ぶりのオリンピック開催。それが100年に一度と言われる伝染病ウィルスの魔手によって窮地に立たされようとしているこの状況は、いち日本人としてなんとも歯痒いものがあります。
(そういう意味では、今回の新型コロナウィルスによるリスクを最も抱えている国は日本と言えるのかもしれませんね)
本格的な不況が雇用状況に与える影響は計り知れません。
ですが、なにも悲観すべきというわけではありません。今現在転職を考えている皆さんは、この状況、このリスクを知っておく必要があるということです。
早く動くべきなのか、それとも期が熟すまで待つべきか。
自力で転職先を探すべきか、それとも知人やエージェントを頼るべきか。
流動的に動くであろうこの状況を制した人が2020年の転職活動を制すのかもしれません。
今、転職希望者が打つべく最前手とは?
まず、混迷を極める現在の状況を見極めるという点で、「待ち」は一つの手ではあると思います。
記事冒頭のデータを見る限り、企業側も状況を見極めている最中(ひとまず採用を後ろ倒し)の可能性が高いからです。
4月以降、新型コロナウィルスが収束に向かうようであれば、後ろ倒しにされていた求人が一気に動き出す可能性もあります。(その逆も考えられますが……。)
逆に、今どうしても転職活動を進めたいという方は自力で転職活動をするのではなく、転職エージェントに代表される各種人材サービスを利用することを考えてみてください。
今回の新型コロナウィルス騒動はもうしばらくは続く可能性は高いです。
状況も日々変わっていくことでしょう。
そんな状況下で、自力のみで鮮度の高い正確な情報をキャッチし続けることは効率が悪いです。
転職斡旋を生業にしている、ある意味転職業界のプロの人間(もしくはそこから得られる情報)を利用するのも決して悪くありません。
転職エージェントに関しては以下のページが参考になると思います。興味を持たれた方はぜひご覧ください。
本ページは都度更新していく予定です。
新型コロナウィルスが転職活動に及ぼす影響が気になる方は、ぜひ定期的にチェックして頂けますと幸いです。