2019年3月にAppleから発表されたゲーム専用サブスクリプション「Apple Arcade」。
月額600円で遊び放題。
このインパクトは大きく、発表当時はゲーム業界が大いにざわつきました。
ですが、9月のロンチ以降は発表当時ほどの盛り上がりを未だ見せていません。
「アップルと言えどゲーム業界のサブスクリプションは難しいのか?」
そんな考えも頭をよぎりましたが、実際にApple Arcadeを体験してみることでその考えが大きな誤りであることを確信しました。
このページでは以下の内容を、(ゲーム業界の片隅に属している)筆者が考察していきます。
- Apple Arcadeが大成功を収めると確信した5つの根拠
- 現時点で大爆発に至っていない2つの理由
- 今後Apple Arcadeを楽しむために注目すべき3つのポイント
Apple Arcadeはアップルが2019年に開始したゲーム専用のサブスクリプションサービス(月額固定のサービス)です。
ひと月600円で100タイトル以上が遊び放題(2020年2月時点)。そして遊べるタイトル数は今後増え続けます。
遊べる端末はiphone、ipad、mac、apple TV。
モバイルからパソコン、家庭用TVまであらゆるシーンに対応するのも特徴です。
この記事の内容
Apple Arcadeが大成功を収めると確信した5つの根拠
昨年末(2019年末)から実際にApple Arcadeに登録して遊んでいますが、比較的早い段階で「これは間違いなく成功するなあ」と感じました。
それくらい体感インパクトがありましたし、我々ゲーム好き人間のツボを相当押さえているサービスだったからです。
ちなみに、私はどちらかと言うとアプリゲームではなくコンシューマーゲーム派の人間のため、正直ここまで楽しめるとは思っていませんでした。
実際にプレイして感じた「Apple Arcadeが大成功する」と確信した理由を5つあげてみたいと思います。
- ゲームのクオリティが想像以上に高い
- ゲームコントローラー(デュアルショック4)に対応している
- 参入敷居がとにかく低い
- 世界最大のゲームプラットフォーム
- ファミリー共有ができる
一つづつ見ていきましょう。
ゲームのクオリティが想像以上に高い
2020年2月現在、Apple Arcadeのゲームはおおよそ100タイトル以上。
もちろん全てのゲームをやり込んだわけではありませんが、想像以上に作り込まれたゲームが多いです。
感覚的には、App Storeの無料アプリの延長線上というよりは、Switch Liteや3DS、PS vitaのような携帯ゲーム機のタイトルを遊んでいる感覚に近いです。
それぞれのゲームのクオリティもとても高い。
その理由の一つとして、Apple Arcadeに並ぶタイトルはアップルからかなり厳しく審査されている点があるのかもしれません。
一定基準以上のゲームしか並べないという行為はとても勇気がいる事ですが(売り上げ面を考えるとなかなか出来ないですからね)、それを実際に行なっているAppleはさすがといったところでしょうか。
ゲームコントローラー(デュアルショック4)に対応している
Apple Arcadeのほとんどのゲームがゲームコントローラー(デュアルショック4)に対応しています。(対応マークが付いていないタイトルもほぼ普通にプレイできます)
これは私個人的にとても大きなポイントで、Apple Arcadeの遊びの幅が数倍に膨れ上がったと言っても過言ではありません。
Apple Arcadeのメイン端末はスマホとタブレットですから、全てのゲームはタップとスワイプ操作に最適化されています。
ですが、ゲームによっては遊びづらかったり魅力を半減させているゲームがたくさんあるのも事実。
そのようなゲームをゲームコントローラーで遊ぶことで大化けするようなタイトルはいくつもあります。
App Store内のゲームを、ゲーム専用のコントローラーで遊びたいという需要は以前からありましたが、それをアップルが公式にサポートしたという事ですね。
この英断によって、Apple Arcadeの商品訴求力は一気にコンシューマー層へも広がったと断言できます。
コンシューマー業界はソーシャルゲーム業界以上にざわついているかもしれません笑。
参入敷居がとにかく低い
私は昨年末にApple Arcadeの無料トライアルに加入したのですが、加入までの一連の流れがあまりにもスムーズすぎて驚きました。
普段App Storeを利用されている方なら、3~5タップ程度でApple Arcadeのゲームを遊び始めることができます。
お値段は月額600円。ちょうどランチ一回分程度ですね。
そして、いつの間にかAPP Store内のTOPメニューにApple Arcadeのボタンが割り込んできています。
(いつの間に!?)
ちなみに「Arcade」のボタンを押すとこのようなゲームをアピールする画面が表示されます。
ビッグタイトルがきたらみんなすぐに加入してしまいそうだなあというのが最初に感じた印象です。
想像してみてください。例えばここにドラクエやFFの新作が並んだとしたら、、、速攻で無料登録しちゃいませんか?
この辺りの(App Storeを最大限に生かした)作りはさすがAppleな感じです。
App Storeは世界最大のゲームプラットフォーム
今現在、世界で最も大きなゲームプラットフォームを持っているのはどこだかご存知でしょうか。
ダントツでアップルです。(Google Playは収益面でApp Storeに大きく水を開けられています)
世界中には、億単位のユーザーがすでにAppleと密な関係にあり、毎日数千万人がApp Storeを利用しています。
Apple Arcadeはそんな環境の中の、いちコンテンツとして組み込まれています。
そこらへんの二流サービスとは格が違うということです。
今後、続々と各社がサブスクリプションサービスに本腰を入れ始めると思いますが、Appleはスタートの時点で圧倒的な地の利を得ているのは間違いありません。
ファミリー共有が可能(1契約で家族6人まで共有できる)
この発表には驚きました。
Apple Arcadeのファミリー共有では1つのサブスクリプション(1契約)で家族が最大6人までApple Arcadeを遊ぶことができます。
(日本の家族は平均4人程度ですから一人あたり150円程度遊べる計算!)
ですがこのファミリー共有、驚くべきは金額ではありません。
注目すべきはNintendo Switch Onlineを完全に意識した料金体系と言う点です。
Nintendo Switch Onlineに契約することで、Switchのゲームでオンライン対戦が可能となります。
それとは別に、任天堂が配信している懐かしのゲームをいつでも遊ぶことも可能。
プレイステーションで言うところの、PS Plusと同等のサービスと言えます。
Nintendo Switch Onlineの料金体系は以下となります。
Nintendo Switch Onlineの料金体系は1人1ヶ月306円、ファミリー契約だと12ヶ月縛りとなり4500円/年です(月額換算すると375円/月)。
金額的にはApple Arcadeの方がやや高いですが、Apple Arcadeのサービス内容を考えれば十分に破格の金額です。
なにより、私はこのファミリー共有はApple Arcadeで「Switchのユーザーを取りに行く」と言うアップルの意思表示にしか思えません。
ゲームコントローラーの接続環境、Switchを意識した料金体系、どうやらアップルは本気でコンシューマー業界のシェアを取りに行くようです。
Apple Arcadeがブーストするために必要な2つの絶対要素
前項の5つの根拠から「浸透するのは時間の問題」という私なりの結論が出た訳ですが、ではいつになったら爆発的に人が増え始めるのか。
その時期を推し量るポイントが次の二つです。
- 魅力的な独占ビッグタイトルの投入
- 豊富な良質ソフト
これら二つはサブスクリプションサービスで勝つために絶対条件である「集客」と「継続性」にそれぞれ紐づいています。
【ポイント1】魅力的な独占ビッグタイトルの存在
まずは何はともあれ独占ビッグタイトルの存在がカギとなります。
これがないことにはゲームプラットフォームは始まりません。
当然Appleもそこは重々承知のはずで既にいくつもの手を打っているはずですから、いつ、どのタイミングで投入してくるのかはとても興味深いです。
2020年末にはPS5と新型XBOXが控えていますので、そこが出揃う前に何かしらのビッグタイトルを投入してくるのは間違いないでしょう。
おそらく、かなりコンシューマーゲームを意識したタイトルになることが予想できますから、私個人的にも大いに期待しています。
このタイミングで一気にユーザー数が増えるはずです。
【ポイント2】豊富なタイトルラインナップ
どうしても遊びたいゲームが出てきたら皆さんは喜んで契約します。
ですが、その後が続かなければ意味がありません。
(超大作ゲームだけを遊ばれて即解約されようものならサブスクリプションサービスは大赤字ですからね)
そこで小粒の良質ソフトたちが生きてくるわけです。
マリオとゼルダの新作をひたすら遊べる環境があればとても幸せなことですが、さすがに息継ぎなしでの連続リリースは不可能です。
中継ぎ役の、マリオパーティーのような息抜きゲームも絶対に必要です。
逆に言うと、ユーザーを継続させるための良質な中継ぎゲームの数が出揃っていなければ、独占ビッグタイトルが登場するには時期尚早と判断することもできます。
ですが、この良質な中継ぎゲームに関してはApple Arcadeはあまり心配はいらないかもしれません。
現在のApp Storeを見れば分かるように、良質のインディーズゲームは星の数ほど存在します。
App Storeの起爆剤となったのは、言うまでもなくこれらインディーズゲームデベロッパーたちによる良質で豊富なアプリ群です。
Apple Arcadeの場合、アップルの審査によりさらなる良質ゲームが集まることが予想されます。
現時点でも(2020年2月)すでに100タイトル以上のゲームが存在していますから、独占ビッグタイトルが発売される地盤は着々と整いつつあると言うことです。
Apple Arcadeをより楽しむために今後注目したい3つのポイント
最後に私が個人的にApple Arcadeで注目しているポイントを3つご紹介します。
ファーストインパクト(独占タイトルの投入)が訪れるのはいつか
これは先の項でお伝えした通りです。
どのタイミングで、どんなキラータイトルが投入されるかはとても楽しみです。
このタイミングでApple Arcadeが一気にユーザー数を増やす事になるのは間違いありませんが、どの程度増やすことができるのかが注目ポイントです。
年末にはPS5が控えていますし、2020年は今後10年のゲーム業界を占う意味でも、非常に大きな位置を占める年になるかもしれませんね。
Apple Arcadeのターゲットはどの層を狙っているのか
意外とこれ、難しいです。
- PCゲーム派(超マニアックユーザー(良い意味でオタク!))
- コンシューマーゲーム派(ガチなゲーマー)
- スマホゲームで課金する派(ライトユーザーから超ヘビーユーザーまで)
- スマホゲームで課金しない派(通称非課金ユーザー)
本記事内でも何度もお伝えしているようにアップルはコンシューマー業界(どちらかといえばプレイステーションよりはSwitchのファミリー層)を意識しているのは間違いありません。
ですが、Apple Arcadeがまず取りに行く層は、やはりスマホゲームの課金ユーザー層だと思います。
もちろん非課金ユーザーの掘り起こしは常に狙っていくはずです。
注目ポイントはどのくらいの配分でターゲット層の比重を置いているか、と言う点ですね。
私個人としては「コンシューマー層をどの程度取りに行こうとしているのか」はとても注目しています。
この辺りは、アップルの今後の施策や投入タイトルでなにかしら見えてくるところはあると思っています。
Apple Arcadeはゲーム制作会社にとっても美味しい市場になるのか
3つ目は少し開発者目線での注目ポイントです。
聞くところによると、このApple Arcadeにデベロッパーとして登録されると(アップルの審査あり)、アップルからゲーム開発用の資金援助があるようです。
もちろんゲームの売り上げに応じた従量制の利益(DL数やプレイ時間?)を得ることができるはずですから、インディーズ系のゲームデベロッパーにとっては非常に魅力のあるゲーム市場になる可能性があります。
今のApp Storeは市場が熟し過ぎてしまったきらいがあり、よっぽどすごい作品でないと他の作品に埋もれがちです。(PS2の末期のような感じでしょうか)
ですから個人的には、デベロッパー各社は活路をApple Arcadeに見出していただき、良質なゲームをたくさん作って頂きたいです。
そうなることでゲーム業界がより活性化するでしょうし、現役・未来のゲーム開発者たちが働く選択肢もきっと増えるはず。
この点は是非期待したいポイントです。
まとめ
「Apple Arcadeの成功を確信した5つの根拠」というお題のもといろいろと書かせていただきました。皆さんはいかがでしたでしょうか。
私個人としては、Apple Arcadeはこれまでのコンシューマー携帯ゲーム市場(PS vitaや3DS、Switch Lite)に取って代わる可能性を秘めた、非常に魅力的なゲームプラットフォームという結論です。
(記事中でも触れましたが、ゲームコントローラーの正式対応がとにかく大きな追い風となっています)
最も注目したいポイントは独占ビッグタイトルが、どのタイミングで投入されるのかという点。
そして、ゲーム業界内における各社サブスクリプションサービスがどのようにシェア争いをしていくかも大変興味深いです。
2020年のゲーム業界は目が離せません。